課題や問題を指摘し、解決へ導く方法を提案するために作成される提案資料は、社内向けに作成することもあれば、ビジネスで社外の顧客や取引先などに向けて作成することもある資料です。社外向けに提案をして自社の製品やサービス導入につなげるために用いられる提案資料は、伝えたい内容が正しく伝わるように作成することが求められます。
そこで本記事では、提案資料の基本と作成の際のポイントや構成、伝わる提案資料を作るためのデザインのポイントを解説します。
提案資料とは?
提案資料とは、自社や顧客の課題や問題点を指摘し、その解決策や改善策、方向性などを提案する資料です。提案資料では、最初に課題などを提示した後に、解決策や解決するためのサービスなどを提案します。
提案資料は、社内向け・社外向けどちらのケースでも作成されるものです。社内向けの提案資料は、業務改善や効率化のための改善策提案に使用されることがあります。社外向けの提案資料は、顧客に向けて自社の製品やサービスを活用してもらうように提案する内容です。
提案資料と似た書類として企画書がありますが、企画書の場合は課題を提示しない場合があるところが提案資料と異なる点です。
提案資料を作る際のポイント

提案資料は、相手に課題や問題、その解決策などを示した上で理解してもらう必要があります。提案を正確に伝えられる資料を作るには、まず4つのポイントを押さえておきましょう。
1. 資料制作のゴールを定める
提案資料は、なぜその資料を作成するのか、目的を明確にしてゴールを定めることが第1のポイントです。分かりやすく見やすい提案資料を作ることは、悪いことではありません。しかし、資料のデザインだけにこだわったり、制作そのものが目的になってしまったりしては、提案内容が分かりにくくなってしまいます。
内容がぼやけないように提案資料を作成するには、まず何を目的にしているのか、資料制作のゴールを明確に決めておくことが必要です。
2. 提案相手の課題を明確にする
提案資料を制作するゴールを定めた後は、最初に提示する課題を明確に把握しておくことが大事です。課題がはっきり把握できていなければ、その課題を元にした提案をしても的外れになりかねません。社外の提案相手に対する提案資料を作る場合は特に、不十分な情報収集で適当に課題を定めてしまうことは避けるべきです。
提案資料制作のためには、十分な時間や労力をかけて情報収集を行い、相手が抱える課題を明確にしましょう。提案相手は自身が抱える課題を必ずしも明確に把握しているとは限らないため、提案に対する質問や反論があるかもしれません。そのような場合に備えて、提案を提示している根拠を示すための裏付けをしっかり行うことも必要です。
3. 相手が享受できるメリットをはっきり示す
提案資料は課題の解決策や改善策などを提案するものですが、提案相手がどのようなメリットを享受できるかを明確に示すことも、資料を制作する上でのポイントです。
提案資料によって解決・改善が必要な課題を相手が把握したものの、それによって得られるメリットがなければ提案は意味を成しません。メリットの有無は、相手が提案の内容を受け入れるかどうかを決める大きなポイントとなるため、提案資料ではどのようなメリットが得られるかをはっきりと示すことが必要です。
メリットを明確に提示するには、具体的な数字やデータを使いましょう。改善策や解決策についてグラフなどを使って視覚的に分かりやすく説明できれば、提案内容や得られるメリットを理解してもらいやすくなります。
4. 実現性の高い提案内容にする
どれほど提案内容が魅力的で説得力があり多くのメリットが得られるとしても、実現性がなければ実行が難しくなるのでほぼ無意味です。そのため、提案内容は実現性の高い内容にするのが基本です。実現可能な内容と判断して提案しても、提案相手の予算やリソースが不十分で、実行できるかどうかが不透明という状況もあり得るでしょう。
提案内容を実現性の高いものにするためには、予算や費用、効果が出るタイミングやスケジュールなどを示しましょう。これらを明確に設定して伝えることで、相手が提案内容を具体的にイメージしやすくなり、納得してもらいやすくなります。
【具体例】提案資料の構成

提案資料は、具体的な内容かつ説得力を持たせる必要があります。効果的に提案内容を伝えるには、提案資料の構成も重要なポイントとなります。そこで、パワーポイントを使った提案資料を作成する際の基本的な構成を解説します。
表紙
提案資料は、いきなり本文から書き出すものではありません。最初に、誰に何を提案する資料なのかを表紙で伝えます。最初に目にする表紙の文言にインパクトがあれば、提案資料へ興味を持ってもらいやすくなります。そこで表紙には、誰に対するどのような提案内容かが端的に伝わるタイトルを作成・提示しましょう。
例えば、相手のWebサイトの改善案の提案の場合は、「貴社Webサイトの集客を上げるサービスのご提案」など、簡潔に提案内容をまとめて表紙で示します。
提案の流れ(目次)
提案資料の情報量やボリュームが多い場合、後から見返したときに内容を把握しにくくなることがあります。そこで提案の流れを目次として最初に提示すると、提案の流れを一目で把握しやすくなり、見返したい情報を探しやすくなるのがメリットです。
ただし、提案の内容や情報数が少ない場合は、目次を作成する必要がない場合もあります。提案資料の内容やスライドのボリュームなどに応じて、適宜目次の作成有無を判断しましょう。
提案の概要
提案の概要は提案資料の冒頭で作成しますが、ここでは、この提案でどのような問題提起をして、どう解決するのかを簡潔に述べます。単純に提案内容の概要を述べるだけではなく、挨拶や提案する機会をもらったことに対する謝辞、提案に至った背景や提案する側の会社概要などを盛り込むこともあります。
この部分はあくまでも概要なので、詳しい説明などは省いて端的に説明するのがポイントです。
提案相手の課題整理
提案資料では、まず提案相手の課題を提示します。どのような課題を抱えているのか、または提案相手から出された要望・課題を把握する上で得た情報を整理します。要望や情報を整理することによって、提案相手が何を望んでいるのか、ニーズが理解できるでしょう。
前述したように、全ての提案相手が自身の課題を把握しているわけではありません。そのため、把握している相手に対しては課題を再確認してもらうために提示し、把握していないと考えられる場合は解決するべき課題についての詳細な説明・具体的な根拠やデータを盛り込みましょう。
提案相手の課題を解決する方法
続いて、提示した課題に対してどのような方法で解決するかを提示します。つまり、この部分が提案資料の主題といえます。
課題の解決方法の具体的な説明は後述するため、最初は詳細な説明をする必要はありません。詳しい説明は、次の根拠で詳しく説明する流れで作成します。まずは、解決方法や仕組みの全体像を簡潔に、現状の課題と併せて説明しましょう。
提案内容で課題を解決できる根拠
課題を解決する方法を提案した後に、なぜその方法で課題を解決に導けるのか、根拠を示します。ここで、解決方法について具体的な説明を述べましょう。例えば、自社の製品やサービスが提案相手の課題解決に特化する理由や強み、費用対効果、提案内容を受け入れた後のサポート体制など、相手を納得させるのに十分な根拠を示すことが必要です。
提案相手が享受できるメリット
提案内容を受け入れて問題や課題を解決すると、提案相手にどのようなメリットが得られるか、具体的に提示します。ここでのポイントは、提案する側のメリットや優位性に傾いた説明を避けることです。
提案相手が享受できるメリットは、数字やデータ、図表などを用いて視覚的に説明するのが効果的です。同様の提案によって解決した過去の事例や導入例を示してもいいでしょう。実例を挙げることで、解決や得られるメリットが現実的なものであることだと理解してもらえます。
提案内容を実施する場合の流れ
提案資料で示した内容を実施する場合に、どのような流れで行われるのか、スケジュールを提示します。担当者や実施時期・内容などを把握した上で、提案相手の要望に合わせたスケジュールを作成しましょう。
実現可能な内容であることが前提なので、提案内容に応じて余裕を持ったスケジュールを設定するのがポイントです。
提案内容を実施する場合の費用
提案内容が効果的であっても、それに見合った費用でなければ導入は難しくなります。提案資料の段階で、提案内容を導入した場合の費用総額や内訳を提示しましょう。費用を明示することで、提案相手は費用対効果をより現実的に把握しやすくなります。
費用を提示する際は、なぜこの程度の費用がかかるのか、内訳ごとに詳細も併せて説明が必要です。複数の提案や規模の大きな提案の場合は、提案やフェーズごとに費用を設定して詳細を併記しましょう。
補足情報
提案資料の最後に、その他の情報を盛り込みます。補足情報は、提案導入を受け入れるかどうかの判断材料となることがあります。自社の会社情報や過去の実績の他、導入フローや料金プランなど、ここまでの流れで説明できなかった内容は最後に補足情報として追加しましょう。
なお、会社概要は提案資料の最後のスライドとして入れ込みます。
提案資料のデザインにおけるポイント
提案資料には、提案相手にとって見やすく読みやすいデザインが求められます。優れた内容の提案資料でも、見にくいデザインは内容を理解してもらいにくくなる原因になってしまいます。そこで、提案資料作成の際のデザインのポイントを解説します。
1つのスライドには1つの情報のみを載せる
1つのスライドに内容を盛り込みすぎると載せる情報量や文字量が多くなり、内容が伝わりにくくなる可能性があります。内容が正しく伝わる提案資料を作成するには、1つのみに絞って必要な情報だけを載せるのがポイントです。
情報を絞り込むときに注意したいのが、情報を絞り込み過ぎないことです。シンプルな情報を載せることを意識しすぎて情報が不足することがないよう、文字数を少なくする代わりに図やイラストを活用するなど、視覚的にも情報を得られる工夫をしましょう。
色やフォントは数を絞る
スライドは、見やすさ・読みやすさが重要です。数多くの色を使ったり異なるフォントを多用したりすると視認性が悪くなってしまうため、使用する色やフォントの数は絞りましょう。
スライドに使用する色は、全体の約7割を占めるベースカラー、本文に使用するメインカラー、強調に使用するアクセントカラーの3色に絞るのが基本です。原色は使用せず、グレー系の色を選ぶと視認性が高く落ち着いた印象のスライドに仕上がります。
パワーポイントのスライドで使用されることが多いフォントは、見た目にもバランスが良く読みやすい「等幅フォント」です。Windowsではメイリオや游ゴシック、Macではヒラギノ角ゴが多く使用されているので、これらのフォントから選んでみましょう。フォントサイズも、色と同様に3種類程度に絞り込むことで統一感が生まれ、強調したい部分が目立ちやすくなります。
図やテキストの端をそろえる
スライドには、テキストと併せて図も使用することが多いですが、配置がバラバラだと見づらくなってしまいます。図やテキストなどの異なる要素が混在するスライドでも、それぞれの要素の端を揃えたデザインにするだけで統一感が生まれ、視認性もアップします。
視覚的に情報が伝わりやすくするためにも、盛り込む図やテキストは端を揃えるなど、配置方法を統一しましょう。
【まとめ】

パワーポイントを使用した提案資料の作成には、資料作成段階の情報収集や構成の作成、提案内容の明確化に加えて、提案内容を効果的に伝えるための構成やスライドのデザインなどが求められます。優れた提案内容でも、それを伝えるための提案資料が分かりづらいと理解してもらいにくく、提案の導入に至らない可能性もあるので、提案資料の内容は重要といえます。
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