ビジネスではプレゼンテーションが頻繁に行われるため、プレゼン資料を用意しなければならない場面が多々あります。しかし資料を作成しても「伝えたいことが伝わらない」「いつもごちゃごちゃしてしまう」「プレゼン中に受け手の集中力が続かないような気がする」などと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、伝わりやすく、受け手の興味を引くことができるプレゼン資料を作るために、プレゼン資料を作る流れやプレゼン資料を作る上で押さえておきたい12のポイントを解説します。プレゼン資料はプレゼンテーションの成功を左右する重要なものだからこそ、コツを押さえて作成することが大切です。本記事を参考にし、伝えたいことが受け手にしっかり伝わり、成果が出せるプレゼン資料を作りましょう。
プレゼン資料を作る流れ
いきなりプレゼン資料をデザインして作成しても、伝えたい内容が十分に伝わる資料はなかなか作れません。まずはプレゼン資料を作る流れからご紹介します。
STEP 1. プレゼンテーションの流れを決める
プレゼン資料を作る際は、まずプレゼンテーション自体の流れを決めましょう。
基本的なプレゼンテーションの流れは、以下のとおりです。
- 導入
- 提案
- 行動喚起
一口にプレゼンテーションといっても、プレゼンテーションの目的はさまざまです。
そのため上記の基本に当てはめて、目的に合った全体的な流れを考えなければなりません。プレゼンテーションで多用される「PREP法」や「DESC法」、「SDS法」などのフォーマットを活用し、適切な流れを決めましょう。それぞれのフォーマットの違いは以下のとおりです。
フォーマット | 向いている プレゼンテーション | 流れ |
---|---|---|
PREP法 | 調査報告 セミナー など | 1. 結論 2. 理由 3. 具体例 4. 結論 |
DESC法 | 商品紹介 営業提案 など | 1. 描写 2. 表現 3. 提案 4. 選択 |
SDS法 | 新商品紹介 聞き手を限定しないプレゼンテーション など | 1. 要点 2. 詳細 3. 要点 |
STEP 2. 箇条書きで構成を作成する
プレゼンテーション自体の流れが決まったら、箇条書きで構成を作っていきます。
各パートでどのようなことを伝えるのかをまとめることで、後々の資料作成が格段に楽になるはずです。ポイントを箇条書きにすると、客観的に流れが見えてくるので、より伝わりやすくストーリー性のある構成を作りやすくなるでしょう。
STEP 3. 必要な情報を抽出する
箇条書きにした構成を踏まえ、必要な情報を抽出しましょう。
分かりやすいプレゼンテーションを行うには、抽出した情報を簡潔・簡単な言葉に置き換えることが大切です。専門用語や業界用語を避け、誰が聞いても意味の分かる言葉を選ぶようにしてください。聞き手が事前情報なしでプレゼンテーションを聞いても理解できるような内容にすることを、意識しましょう。
STEP 4. スライドの構成設計をする
情報の抽出ができたら、スライドの構成設計をしていきましょう。
実際にスライドに情報を入力する前に、箇条書きで作成した構成を基にしながらそれぞれのパートにどの程度の情報を入れるかを決め、スライド全体のボリュームを決めていきます。
STEP 5. スライドを作成する
最後にスライドに情報を入れ込み、デザインを考えてスライドを作成していきます。
ただし抽出した情報を構成に沿ってただ入れ込んでいくだけでは、伝わりやすいプレゼン資料は作れません。次の章でご紹介する、プレゼン資料を作る上でのポイントを押さえ、誰が見ても分かりやすいプレゼン資料を目指しましょう。
プレゼン資料を作る上で押さえておきたい12のポイント
分かりにくいプレゼン資料では、プレゼンテーションの成功は期待できません。プレゼンテーションの成果を出すために、ここからご紹介するプレゼン資料を作る上で押さえておきたいポイントをしっかり意識し、有効な資料を作成しましょう。
01. テンプレートを活用する
プレゼン資料作成が苦手な方や作成にあまり慣れていない方は、テンプレートを活用するのがおすすめです。
パワーポイント(Microsoft PowerPoint)やGoogleスライドには最初からテンプレートが用意されている他、インターネット上でもさまざまな無料テンプレートが配布されています。テンプレートは見やすいデザインで作られているものが多いので、用途に合ったものを活用すれば分かりやすいプレゼン資料を作れるでしょう。デザインにかかる時間の削減にもつながるはずです。
02. 配色の黄金比率を取り入れる
配色の黄金比率を取り入れることも、プレゼン資料を作る上で重要なポイントです。
プレゼン資料は色を効果的に使うことで見やすさがアップしますが、色を多用し過ぎると逆に見にくい資料になってしまいます。分かりやすい資料にするために、以下の配色の黄金比率を取り入れましょう。
●ベースカラー(タイトルやアイコンなど資料全体のイメージカラー) : 70%
●メインカラー(重要度が低いテキストやオブジェクトに使用するカラー) : 25%
●アクセントカラー(強調したいテキストやオブジェクトに使用するカラー): 5%
配色の黄金比率はインテリアなどのカラーコーディネートでも使われるもので、この比率を意識して資料作りをすれば、メリハリがあり見やすいデザインにまとまります。ただし単に3つの色を使用するだけではコントラストが付きにくいため、同じ色の明度や彩度を変え、色のバリエーションを増やすと良いでしょう。コントラストについては後述します。
03. 見やすい色を選ぶ
見やすい色を選ぶことも、プレゼン資料を作る際に重要なポイントです。
はっきりした色をアクセントカラーに使うことで、特に伝えたい内容を、効果的に強調できます。しかし原色の赤や黄色など彩度が高過ぎる色は、色の刺激が強く、情報を認識しにくくなってしまう可能性が高いです。同じ赤でも彩度を落とすことで色の刺激を抑えられるため、文字やオブジェクトが見やすくなるでしょう。
04. 見やすいフォントを使用する
見やすいフォントを使うことも、プレゼン資料を作成する上で押さえておきたいポイントです。
企業や商品、サービスのイメージを伝えるために、おしゃれなデザインのフォントを選ぶ方も少なくありません。しかし、パッケージなどでは効果的なデザイン性の高いフォントは、プレゼン資料に多用してしまうと単に見にくいだけになってしまいます。
資料を作成する際のフォント選びは、見やすさを重視することが大切です。Windowsならメイリオや游ゴシック、Macならヒラギノ角ゴがプレゼン資料に適しています。可読性が重視されたフォントならその他のフォントでも構いませんが、後述するコントラストを付けるためにも、太字に対応しているフォントを選んでください。
05. 利用シーンに合わせたフォントサイズを決める
プレゼン資料のフォントサイズは、利用シーンに合わせて決めましょう。
近年は対面でのプレゼンテーションだけでなく、オンラインでのプレゼンテーションが行われる機会も増えてきました。対面では見やすいフォントサイズのプレゼン資料をそのままオンラインで使うと、フォントが大き過ぎて見づらくなってしまうことがあります。
使用するスクリーンの大きさや会場の大きさにもよりますが、スクリーンに投影する場合は一般的に14〜18ポイント程度のフォントサイズが見やすいです。オンラインで使用する資料の場合は、10〜12ポイント程度にしておくと良いでしょう。1枚のスライドでさまざまなフォントサイズを使用すると見にくくなるので、3サイズ程度に押さえておくのがおすすめです。
06. スライド1枚当たりの文字数を決める
プレゼン資料を作成する際は、スライド1枚当たりの文字数を決めておくことも大切です。
伝えたい情報がたくさんある場合でも、1枚のスライドに多くの文字を詰め込むのは避けた方が無難です。テキストの量が多過ぎてしまうと、パッと見たときにどこを読むべきかが判断しづらく、受け手の集中力を損なう原因にもなってしまいます。
ケースバイケースですが、スライド1枚の文字数は105文字までが良いといわれています。一つの目安として覚えておきましょう。
07. 1枚のスライドは1メッセージにまとめる
1枚のスライドに入れ込むメッセージは、1メッセージまでにまとめましょう。
1枚のスライドにいくつもメッセージを入れてしまうと、何を伝えたいのかが分からなくなってしまいます。できるだけ内容はそぎ落とし、関連する内容でその他に伝えたいメッセージがある場合は、スライドを分けるようにしてください。最も伝えたい内容をまとめたキーメッセージは、13文字以内にすると良いとされています。
08. コントラストを付けて視認性を上げる
プレゼン資料を作成する際は、コントラストを付けて視認性を上げることも意識しましょう。
コントラストを付けていないプレゼン資料は、どこを見るべきかが分かりづらく、受け手の集中力を低下させてしまいます。色の濃淡で強弱を付ける、フォントサイズや太字で強弱を付けるといった工夫でメリハリを付け、どこに注目すべきかが一目で分かるようにしましょう。
09. 改行と行間を意識する
改行と行間を意識することも、プレゼン資料を作る上では重要です。
適切な箇所で改行すれば資料は見やすくなりますが、単語の途中で改行してしまうと読みにくくなってしまいます。文字数の問題で単語の途中で改行せざるを得ない場合は言い回しを変え、単語の途中での改行はしないようにしましょう。また実際に声に出して読んでみて、読みやすい位置で改行することも大切です。
行間は広過ぎても狭過ぎても見づらくなってしまいます。一般的にプレゼン資料の場合は、行間を1.0〜1.5ポイントに設定すると見やすくなるといわれています。
10. グルーピングを取り入れる
プレゼン資料を作成する際は、グルーピングを取り入れることも意識しましょう。
グルーピングとは関連する情報を近づけ、関連しない情報を離すというテクニックです。例えば関連するテキストと写真であるにもかかわらず両者を離してレイアウトしてしまうと、関係性が分かりにくく、内容が伝わりづらくなってしまいます。
プレゼン資料を作成する際は「関連する情報を近づけ、関連しない情報を離す」ことを常に意識して、レイアウトを考えましょう。1枚のスライドに関連しない2つ以上の情報が入る場合は、情報ごとに色分けをすると、さらに見やすくなります。
11. 図や写真をうまく取り入れる
プレゼン資料を作成する際は、図や写真もうまく取り入れるようにしましょう。
単に文字だけでまとめられたプレゼン資料は、内容が分かりやすくてもイメージしづらく、受け手の集中力が損なわれてしまう原因にもなってしまいます。図や写真を取り入れると内容がイメージしやすくなり、視覚的に訴えかけることで受け手の興味も惹きやすくなるでしょう。
ただし図や写真を入れる必要がないのにあれこれ入れてしまうと、逆効果になってしまいます。図や写真もテキストと同じ情報なので、情報の入れ込み過ぎには注意してください。
12. Zの法則を基本にする
プレゼン資料を作成するときは、Zの法則を基本にしてデザインしましょう。
Zの法則は、プレゼン資料を見るときの人の目線が、アルファベットの「Z」のように、左上→右上→左下→右下という流れで動くという視線導線の法則です。この法則にしたがって左上にタイトルや最も伝えたい内容をレイアウトし、右下に結論などの重要なポイントをレイアウトすると、伝えたい内容が受け手に伝わりやすくなります。
また重要な情報を上部にまとめ、箇条書きなどで細かな情報を記載する際は、Fの法則を取り入れるのも一つの方法です。Fの法則とは、視線がアルファベットの「F」のように左上→右上→左下→右下に動くという視線導線の法則です。
【まとめ】コツを押さえて伝わりやすいプレゼン資料を作ろう
本記事ではプレゼン資料を作る流れや、プレゼン資料を作る上で押さえておきたい12のポイントをご紹介しました。
伝えたい情報が多いとあれこれ詰め込んだプレゼン資料になってしまいがちですが、効果的なプレゼンテーションを作るには、見やすさを重視することが大切です。ご紹介したプレゼン資料作りのコツを押さえた上で、見やすいデザインで伝えたいことを絞ったスライドを作成し、成果が出るプレゼン資料に仕上げましょう。
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