パワーポイントで比較資料を作成するなら、見せ方に工夫が必要です。顧客の気持ちをつかむには、見ただけでポイントが伝わる資料にしなくてはなりません。
今回の記事では、パワーポイントで比較表や比較図を作成する方法、分かりやすい資料作成のポイントなどを解説します。説得力と訴求力のあるパワーポイント資料を作りたい方は、ぜひお読みください。
パワーポイントの比較:見せ方のパターンとは
プレゼンテーションなどのパワーポイント資料を作成する際、「比較」はよく使われる表現方法です。複数の項目を比較することで、それぞれの差異が明確になり、顧客が抱く疑問や不安を解消できます。
比較資料での説明が向いている事柄には、以下のものがあります。
- 自社製品と競合製品の違い
- 導入前後の変化(before/after)
- 複数の料金プランの比較 など
またパワーポイントでよく使われる「比較」の見せ方は、主に次の2パターンです。
特徴 | 選択基準 | |
---|---|---|
比較表 | 表を使って比較する | ●比較対象や項目が多い |
比較図 | 図形やフローチャートなどを使って比較する | ●比較項目が少ない ●見た瞬間にインパクトを与えたい |
比較表を用いると、競合製品との違いや導入後のメリットなどを詳しく説明できるため、顧客の理解が深まります。一方の比較図は図形の大小や位置などで、視覚的に強い印象を与えることが可能です。
パワーポイントで比較表を作成する

パワーポイントの比較表は、次のいずれかの方法で作成できます。
- Excelの表を挿入する
- パワーポイント上で表を作る
Excelの表を挿入する
Excelで作成した表をパワーポイントのスライドに挿入するには、シンプルにコピー&ペーストします。
Excelのシート上で表をコピーし、パワーポイントのスライド上で右クリックをすると「貼り付けのオプション」が表示されます。各オプションの特徴は下記の通りなので、使いやすい方法を選んで貼り付けましょう。
貼り付けのオプション | 特徴 | 効果 |
---|---|---|
貼り付け先のスタイルを使用(「Ctrlキー+Vキー」の押下でも可能) | Excelで設定した書式が引き継がれない | パワーポイントの書式を使ってデザインできる |
元の書式を保持 | Excelの書式を引き継いで貼り付ける | 編集や書式変更はパワーポイントの書式を使用 |
埋め込み | Excelで開いて編集できる(元データのサイズに比例して、パワーポイントファイルのサイズも大きくなる) | ダブルクリックでデータを編集できる |
図 | Excelの書式を引き継いで貼り付ける | 貼り付け後の編集は不可 |
テキストのみ保持 | 表のテキストのみを貼り付ける | テキストボックスに入力したような形になる |
なお、Excel以外のツールで作った表もコピー&ペーストで挿入可能です。ただし、貼り付けのオプションが少なくなる場合があります。
パワーポイント上で表を作る
Excelなど他のツールを使わず、パワーポイントのスライド上で表を作成することもできます。手順は大きく分けて以下の3つです。
- 表を挿入する
- 必要な情報を入力する
- 表の書式を設定
1. 表を挿入する
- 「挿入」タブ→「表」の下矢印をクリック
- プルダウンメニューに複数の白い四角形が現れるので、挿入したい行×列と同数の四角形をドラッグ
※またはプルダウンメニューの「表の挿入」から、列数と行数を設定する
2. 必要な情報を入力する
表の外枠ができたら、セルの中に必要な情報を入力します。
列数や行数を変えたいときは「テーブルレイアウト」タブ→「行と列」で挿入や削除が可能です。
3. 表の書式を設定
次に、表のフォントや色などの書式を設定します。
文字 | ●「ホーム」タブ→「フォント」 フォント、色、サイズなどを設定 |
表スタイル | ●「テーブルデザイン」タブ→「表スタイル」 表のデザインを既定のスタイルから選択できる (線付き下矢印をクリックすると一覧が表示される) ●「表スタイルのオプション」で、タイトル行や集計行の色変更、縞模様などの有無を選択 |
表の色 | 設定したい箇所を選択してから 「テーブルデザイン」タブ→「塗りつぶし」 プルダウンメニューから色や効果を選択 |
セルの幅と高さ | 変更したいセルの境界線にカーソルを合わせ、ポインタが二重線+左右(上下)矢印になったらドラッグして調整 |
テキストをそろえる | ●左右:「ホーム」タブ→「段落」 または「テーブルレイアウト」タブ→「配置」 左揃え・中央揃え・右揃えから選択 ●高さ:「ホーム」タブ→「文字の配置」 または「テーブルレイアウト」タブ→「配置」 右揃え・上下中央揃え・下揃えから選択 |
罫線の編集 | ●設定したい箇所を選択してから 「テーブルデザイン」タブ→「罫線」 プルダウンメニューから罫線を引く位置を選択 または ●「テーブルデザイン」タブ→「罫線の作成」 「罫線を引く」をクリックし、罫線を引きたい境界線をクリックまたはドラッグ (ポインタは鉛筆の形) ※罫線の種類や太さ、色を指定したいときは「テーブルデザイン」タブ→「ペンのスタイル」「ペンの太さ」「ペンの色」で設定 ※「消しゴム」で罫線を消すと、両側のセルが結合する。罫線だけを消したいときは種類から「罫線なし」を選択 |
セルの結合・分割 | 設定したい箇所を選択してから ●結合:「テーブルレイアウト」タブ→「セルの結合」 ●分割:「テーブルレイアウト」タブ→「セルの分割」 ダイアログボックスから分割するセルの数を指定する |
比較表のデザインのコツ
比較表を見やすく、おしゃれにデザインするコツを4つ紹介します。
- 罫線を目立たせない
- タイトル行を目立たせる
- 余白はバランスよく取る
- テキストの配置をそろえる
1. 罫線を目立たせない
罫線が太すぎたり目立ったりすると、肝心な文字や数値が読みにくくなってしまいます。比較表をパッと見たとき、データより先に罫線が目に入る場合は、目立たなくなるように色や太さを調整しましょう。
なお、罫線の色はグレーか白がおすすめです。太さや濃度は表を見ながら、目立ちすぎないよう調節します。どうしても罫線が気になってしまう場合は、使わないのも選択肢の一つです。
2. タイトル行を目立たせる
タイトル行に色やパターンを付けて目立たせると、データ行との区別が付き、見やすくなります。
「テーブルデザイン」タブ→「タイトル行」にチェックを入れると、タイトル行だけ簡単に色を変えられます。あるいはタイトル行のセルに「塗りつぶし」で色を付けてもよいでしょう。
3. 余白はバランスよく取る
比較表のセルは、窮屈に見えない十分な余白が必要です。フォントを小さくしたり、セルの高さや幅を広げたりすると余白調整ができます。
ただし余白を取りすぎると閑散とした印象になるため、適度なバランスが大切です。
4. テキストの配置をそろえる
表の中でテキストの配置を統一すると、整ったイメージになります。
一般的には、下記のそろえ方が多く使われているようです。
- 文字の高さ:中央上下揃え、下揃え
- 文字の位置:左揃え、中央揃え(数値は右寄せ)
パワーポイントで比較図を作成する

パワーポイントの比較資料では、図形を用いて差を表現する方法もよく使われます。大きさや幅などで違いを示せるため、直感的な理解を促すことが可能です。
図形のレイアウトには決まりがないので、工夫次第でさまざまな表現ができます。以下はほんの一例です。
- 円や四角形の大きさで規模の差を表現する
- 矢印やフロー図で工程の違いを示す
- 図形の配置で関係性や優位性を表現する
本項では、図形を組み合わる比較方法と、パワーポイントの「SmartArt」機能を使った比較図の作成方法を解説します。
図形を組み合わせる
簡単な比較図は、図形を並べたり組み合わせたりして作成可能です。比較する項目のイメージに合わせて図形を選び、位置や大きさの違いなどで比較を表現します。以下はその一例です。
比較対象 | 表現方法 |
---|---|
規模・パーセンテージ | 図形の大きさを変えて並べる |
before/after | beforeとafterをそれぞれ図形に記載し、間に矢印を置く |
フロー | 複数のブロック矢印に1つずつ工程やステップを記載し、順番に並べる |
SmartArtグラフィックを活用する
パワーポイントの「SmartArt」機能を使うと、複雑な図表を簡単に作成できます。バリエーションが豊富なので、内容に応じてさまざまなグラフィックを選べます。
SmartArtグラフィックの使い方
- 「挿入」タブ→「SmartArt」から図表を選択
(左側にテキストウィンドウ、右側にグラフィックが表示される) - テキスト入力ウィンドウに項目名を入力
- 上部メニューや「図形の書式設定」作業ウィンドウから、色などの書式を設定
SmartArtグラフィックの種類
SmartArtには、大きく分けて8種類のグラフィックがあります。
グラフィックの種類 | 主な用途 | 使用例 |
---|---|---|
リスト | 情報の一覧やグループ分け | before/after、状態や構造などの比較 |
手順 | プロセスやタイムライン | 段階別の変化状況、工程や導入フローなどの比較 |
循環 | 連続するプロセスやサイクル | 工程の増減、情報の流れなどの比較 |
階層構造 | 組織やグループの階層関係 | 料金プランや性能の内訳などを比較 |
集合関係 | 異なるグループ間の関係や共通点 | 市場規模や割合、サービスの拡張などの比較 |
マトリックス | ポジショニングマップ、位置づけや関連性 | 自社製品と競合製品などの比較 |
ピラミッド | 階層関係、重要度や優先順位 | ピラミッドを並べて自社と競合の特徴などを比較 |
図 | 画像とテキストを組み合わせて情報を伝える | 料金プランやサービス内容などの比較 |
パワーポイントの比較:見せ方のコツとは
比較資料を効果的に見せるには、情報の整理と視覚的な工夫が重要です。本項では、パワーポイントの資料を分かりやすく見せるコツをまとめました。
- 情報を詰めすぎない
- 視線の流れを意識する
- 色に役割を持たせる
情報を詰めすぎない
一枚のスライドに情報を詰めすぎると、趣旨がぼやけてしまいかねません。一枚のスライドに入れる比較情報は、1種類にとどめましょう。文字の入れすぎにも注意が必要です。
視線の流れを意識する
重要な事項や情報は、スライドの上部に配置します。なぜなら、人の視線は「左上から右下に流れる」と言われているからです。
時系列の流れは左側に過去、右側に未来をレイアウトします。before/afterなら「beforeが左、afterが右」です。このように視線の動きをうまく活用しましょう。
また、画像とその説明文といった関連性が高いものは近隣に配置することもポイントです。遠ざけてしまうと、スライドを見たときに両者を結びつけにくくなります。
色に役割を持たせる
パワーポイントの資料では、使用する色を絞ることも重要です。「無彩色+2色」をベースに考え、それぞれの色に役割を持たせるとすっきりします。
色の役割 | 選択基準 |
---|---|
文字 | 黒、グレーなどの無彩色 |
メインカラー | コーポレートカラー、製品のイメージカラーなど |
アクセントカラー | メインカラーを引き立てる色(反対色など) |
色が足りないと感じる場合は、メインカラーやアクセントカラーの彩度(色の鮮やかさ)を変えると、バリエーションが生まれます。
【まとめ】パワーポイントの比較表はおしゃれな見せ方で効果的に

競合製品との違いや購入(導入)時のbefore/after、料金プランの内容の違いなどは、顧客が注目する項目です。この部分を「比較」の形で明確に示すと、顧客は納得して製品の購入やサービスの導入を検討できます。
しかし、実際にデザイン性の高い比較図や比較表を作るのは、なかなか難しい作業です。強調の仕方や色使い、説明文の入れ方など、細かいところで頭を悩ませることもあるでしょう。そのようなときは、専門のデザイナーに作成を依頼するのもおすすめです。
「デザポ」は、プロのグラフィックデザイナーにパワーポイント資料の作成を依頼できるサービスです。
デザポのデザイナーは、専門知識と技術はもちろん、豊富な経験も兼ね備えています。だからこそ、表や図の力を生かし、比較が持つ訴求効果を引き出す資料の提供が可能です。
デザポの公式Webサイトには、実際にデザイナーが作成した、さまざまな実例が掲載されています。視覚効果の高いパワーポイント資料を作成したい方は、ぜひご覧ください。