プレゼンテーションを作成するソフトとして広く知られているのは、Microsoft社のパワーポイントですが、Googleが提供するGoogleスライドというアプリケーションも多く利用されています。
本記事では、Googleスライドとパワーポイントそれぞれのスライドをもう一方に対応する形式に変換する方法と、変換の際によくあるトラブルや2種類のソフトの違い、それぞれのメリットについて解説します。
Googleスライドとパワーポイントの違い
Googleスライドは、Googleが提供しているソフトで、パワーポイントはMicrosoft社のビジネス向けアプリケーションをまとめたパッケージ「Microsoft Office」に含まれるソフトです。
パワーポイントはプレゼンテーションを作成するソフトとして知られていますが、Googleスライドも同じくプレゼンテーションを作成できるソフトの1つです。両者は似ている部分が多いですが、大きく異なる点も複数あります。
まずは、Googleスライドとパワーポイントの違いから解説していきます。
利用環境の違い
Googleスライドは、クラウド上で使えるソフトです。利用するにはインターネットへの接続が必須なので、オフライン環境では使えません。一方、パワーポイントはデスクトップ版とWeb版（クラウド版）があり、デスクトップ版は常時インターネットに接続していなくても利用できる点が異なります。
保存方法の違い
Googleスライドはクラウドベースであるため、データは主にクラウド上に保存されます。パソコンが使えなくなったとしても、クラウドにアクセスできれば引き続きスライドの作成が可能です。
デスクトップ版のパワーポイントは、利用しているパソコンのハードディスクやSSD、またはクラウドのどちらにもデータを保存することが可能です。
※Web版のパワーポイントは、クラウドにのみデータの保存が可能です。
機能・デザインの違い
Googleスライドは比較的シンプルなソフトで、複雑な機能がないので直感的に使える操作性の高さが特徴です。シンプルで操作が簡単ではありますが、搭載されている機能もシンプルで使用できるフォントの種類が少なめなので、凝ったデザインのスライド作成は難しい可能性があります。
これに対し、パワーポイントは充実した種類のフォントがそろっており、テンプレートも豊富なので、工夫を凝らしたデザインのスライドを手軽に作成できます。
料金の違い
Googleスライドは、Googleのアカウントを持っていれば誰でも無料で利用できるのが大きな魅力です。また、主に企業や教育機関向けに有料版も用意されています。
パワーポイントは、有料版（サブスクリプションまたは買い切り）と無料版、デスクトップ版とWeb版が存在し、契約プランによって利用できるものが異なります。
日本国内の企業では、サブスクリプション契約で、デスクトップ版とWeb版どちらも利用可能な場合が多いようです。
Googleスライドとパワーポイントとの変換時によくあるトラブル
Googleスライドとパワーポイントで作成したスライドは、それぞれ別のソフトで使用できるように変換が可能です。しかし、完全に同じソフトではないため、変換時にトラブルが発生することがあります。
まず、パワーポイントのスライドからGoogleスライドに変換すると、文字がずれるトラブルがありがちです。これは、Googleスライドに対応していないフォントを使ったパワーポイントのスライドを変換した際に起こるトラブルです。文字のズレを回避するには、両方のソフトに対応したフォントを使用しましょう。
また、パワーポイントで作成したスライドをGoogleドライブにアップロードしてGoogleスライドで開いた際に、正常に変換できずエラーになることがあるのも、よくあるトラブルの1つです。
Googleスライドからパワーポイントへの変換手順
Googleスライドからパワーポイントに変換する際に起こり得るトラブルを避けるためには、正しい手順で変換する必要があります。
まず、変換したいGoogleスライドを表示させてから、「ファイル」メニューの「ダウンロード」から「Microsoft PowerPoint」を選択します。すると、Googleスライドが「.pptx」という拡張子が付いたパワーポイント形式のファイルとしてダウンロードされます。
ダウンロードされたファイルをパワーポイントで開くと、閲覧・編集が可能です。
パワーポイントからGoogleスライドへの変換手順
パワーポイントで作成したスライドをGoogleスライドに変換するには、「ファイル」メニューの「開く」または「スライドをインポート」を選択します。それぞれ、表示された画面の「アップロード」タブをクリックし、表示された点線の枠内に変換したいスライドをドラッグ・アンド・ドロップしましょう。
または、Googleドライブのトップページ左上にある「新規」をクリックし、「ファイルをアップロード」または「フォルダをアップロード」をクリックしてパワーポイントのスライドを指定しても変換できます。
Googleドライブに直接アップロードしたパワーポイントのスライドをGoogleスライドで開いても、Googleスライドのファイルとして変換できません。変換できないファイル名の右側に「.pptx」と表示されますが、これは正常に変換できていないことを示しています。
「.pptx」が表示されてエラーとなったパワーポイントのスライドをGoogleスライドに変換するには、画面左上の「メニュー」をクリックして「Googleスライドとして保存」を選択しましょう。すると別のタブでスライドが開くので、そのURLを使うと正常に変換されます。正常に変換されていれば、ファイル名の横に「.pptx」の表示が消えています。
Googleスライドを利用するメリット
Googleスライドとパワーポイントはどちらもスライド作成ができるソフトですが、利用環境や機能などに多くの違いがあります。では、Googleスライドにはどのようなメリットがあるのでしょうか。パワーポイントにはないメリットをご紹介します。
複数人で共有や同時編集ができる
オンラインで使用するGoogleスライドは、スライドごとにURLが割り振られるため、そのURLを共有するだけでスライドも容易に共有できるのがメリットです。共有したスライドは同時に複数人で編集でき、他の人が編集中でも編集が可能です。基本はオンラインで使用するGoogleスライドですが、設定すればオフラインでも使用できます。
複数人での編集でも、誰がどの部分を編集したかの履歴やコメントを残せるので、グループ内でスライドを取り扱う際の作業がスムーズに進められるでしょう。
データを保存・復元しやすい
Googleスライドは手動で保存ボタンを押す必要がなく、編集中でも自動的に編集・変更内容を保存します。編集中に小まめに内容を保存してくれるので、保存し忘れを防止しやすく、バックアップも不要である点がメリットです。
前述したように、Googleスライドでは編集や変更が行われた履歴が残るので、もし編集内容を復元したい場合は、履歴をさかのぼって復元したい時点に戻すことが可能です。
どこからでも閲覧・編集ができる
Googleスライドはクラウド上で使用するソフトなので、インターネット環境さえあれば使用する端末が限定されません。Googleドライブにアクセスできれば、パソコンはもちろんタブレット端末やスマートフォンでも閲覧や編集が可能です。
外出先やテレワークでスライドを共有して作業を行いたい場合に、クラウドで使用できるGoogleスライドは利便性が高いといえるでしょう。
Googleスプレッドシートと連携しやすい
Googleスライドは、Googleが提供する表計算ソフト「Googleスプレッドシート」と連携しやすい点も特徴です。どちらもクラウド上で使用するGoogleのソフトなので、連携性に優れているメリットがあります。
Googleスライドに表やグラフを挿入したい場合、Googleスプレッドシートにある表やグラフをコピーして「リンクなしで貼り付け」または「スプレッドシートにリンクする」にチェックを入れると簡単に挿入できます。スプレッドシートの内容を更新すると、自動的にGoogleスライドに貼り付けた表やグラフの内容も更新されるので、データが変更になった場合でも貼り付け直す必要がありません。
簡単にWeb上に公開できる
作成したスライドを簡単にWebサイトに埋め込んで誰でも閲覧できるように公開できるのも、Googleスライドのメリットです。
Webサイトに貼り付けてスライドの内容を公開するには、スライドの「メニュー」の「ウェブに公開」にある「埋め込み」を選択して、スライドのサイズや自動表示設定などを行います。これらを設定した後に「公開」をクリックして発行されたHTMLコードをWebサイトに貼り付けることで、Googleスライドを公開できます。
プレゼンテーションの際に質問を受け付けられる
Googleスライドでは、プレゼンテーション中に閲覧者からの質問を受け付けられるQ&A機能を使用できます。Q&Aのライブセッションを開始して質問を表示させ、「質問を受け付け中」の状態にすることで、閲覧者が匿名で質問ができるようになります。
Q&Aセッションを設定するには、プレゼンテーションを開いた状態で、画面右上にあるスライドショーアイコン右側の下矢印をクリックして「プレゼンター表示」をクリックしましょう。別ウインドウが表示されるので、この中にある「ユーザーツール」タブの「新しいセッションを開始」をクリックすると、Q&Aセッションが開始されます。
Q&Aセッションを活用することで、プレゼンテーション中に閲覧者の理解度を把握したり、その場で質問に答えたりすることが容易に実現できます。
パワーポイントを利用するメリット
Googleスライドはオンラインで使用するソフトであるため、URLを共有すれば端末を問わず誰でも共有して閲覧・編集できる点などが、オフラインで使用するパワーポイントにはないメリットです。
オンラインで利用する方が便利と思われがちですが、オフラインで利用するパワーポイントにもGoogleスライドにはないメリットがあります。
フォントが多い
パワーポイントは、豊富な種類のフォントを使用できるメリットがあります。Googleスライドで使用できるフォントは4種類のみに限られますが、パワーポイントなら多彩な種類のフォントを使えるので、プレゼンテーションの内容やデザインに合ったフォントや見やすさを重視したフォントなど、用途に合わせて選べます。
デザイン機能が充実している
パワーポイントはデザイン機能も優れており、図形編集や描画機能など、さまざまな機能が充実しているのもメリットの1つです。
例えば、矢印先端のサイズやデザインの変更、3Dアートやアイコン、スマートアートの挿入、手書きの絵や線を使える描画機能など、デザインにこだわったスライドを作るのに適した機能がそろっています。
縦書きの機能がある
縦書き機能は、パワーポイントの特徴的な機能です。Googleスライドは縦書きに対応していませんが、パワーポイントは縦書きのスライド作成に対応しています。
縦書きを使用したチラシやポスターを作成するには、パワーポイントの方が適しています。
Microsoft Officeと連携しやすい
Microsoft Officeに含まれているパワーポイントは、Microsoft Officeとの連携がしやすいメリットがあります。例えば、Wordの文書内にパワーポイントのスライドをリンクして埋め込むことが可能です。Excelでも同様に、Excelで作成したデータやグラフなどをパワーポイントのスライドに貼り付けてリンクできます。
いずれの場合も、パワーポイント側が更新されると、自動的にWordやExcelにリンクしたデータも更新されます。
オフラインの作業に向いている
パワーポイントは、オフラインで使用するのが基本のソフトなので、クラウド上で使うGoogleスライドよりもオフラインでの作業に向いているといえます。共有の必要がないスライド作成の場合は、パワーポイントを使うのがおすすめです。
ただし、近年はMicrosoft OfficeもGoogleスライドのようにクラウド上で使用するサービスに移行されつつあります。
【まとめ】
Googleスライドとパワーポイントはそれぞれ異なる特徴やメリットがあるので、用途や使い方によって使い分けると、どちらも便利に利用できます。しかし、本格的で見やすいプレゼンテーションを作成するのであれば、フォントやデザインの選択肢が豊富なパワーポイントで作成することをおすすめします。
パワーポイントのプレゼンテーションは、豊富なフォントやデザインを駆使することで、より見やすく説得力のある内容に仕上げることが可能です。そのような伝わるプレゼンテーションを自力で作るのはハードルが高いと感じている方は、株式会社ユニモトが提供するパワーポイント制作サービス「デザポ」へ依頼してみましょう。
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