さまざまな問題や問題解決、分析などの目的で作成されるロジックツリーは、プレゼンテーションとして活用されることがあるフレームワークの1つです。ロジックツリーを作成するには、視覚的に分かりやすいプレゼンテーション作成ソフトであるパワーポイントが用いられることが多く、使い方を把握していればロジックツリーを容易に作成できます。
そこで本記事では、ロジックツリーの基本知識とともに、パワーポイントでロジックツリーを作るための方法をOS・環境別に解説します。
ロジックツリーとは?

ロジックツリーとは、ある特定の事柄に対する問題や原因などの関係性を書き出すことで、全体像を把握して解決策を導き出すためのフレームワークのことです。大きな項目から要素を分解して、小さな項目を木の枝のようにだんだんと広げて階層を作っていくことから、ロジックツリーという名称が付けられています。
ロジックツリーは、それぞれの要素の分類や区分け、因果関係を矢印のみで示せるので、視認性が高く内容を把握しやすいのがメリットです。そのため、ロジックツリーはプレゼンテーションにも多く用いられています。
ロジックツリーを活用するシーン
ロジックツリーはさまざまなシーンで活用できるものですが、主に活用されるのが以下に挙げるシーンです。
原因追及(Why)
物事の原因を追求して明らかにするための原因追及のロジックツリーは、階層を下げるにつれて細かい原因を探れます。それぞれの原因を細かく探ることによって、具体的な改善策を見つけられます。
物事の原因は複数の要素が複雑に絡んでいることがあるため、要素が重複することなく作成するのがポイントです。その際にポイントとなるのが、「MECE」です。これは、「Mutually(互いに)」「Exclusive(重複せず)」「Collectively(全体に)」「Exhaustive(漏れなく)」という意味の頭文字を取ったフレームワークで、問題を整理する際の基本的な考えです。原因追及のロジックツリーでは、このMECEを意識して作ることが必要となります。
問題解決(How)
問題解決のロジックツリーは、原因を探る原因追及のロジックツリーに対し、解決方法を具体的にするものです。
全体像を見るよりも分けられた要素に焦点を当てて、それぞれの要素ごとに解決策を考えるのが、問題解決のロジックツリーのポイントとなります。前述の原因追及と対応する問題解決のロジックツリーを作ることも可能です。
要素分解(What)
要素分解のロジックツリーは、商品またはサービスの要素を詳細に分解・整理するために用いられます。ターゲティングやセグメンテーションなどのマーケティング戦略、改善点の洗い出しなどに便利です。
要素分解のロジックツリーでも、重複しないように作成することが重要です。必要な要素をすべて網羅しつつ、重複がないように整理して作成します。
KPI設定
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」という意味を持つマーケティング用語です。目標達成までに必要なプロセスの達成度合いを評価するための指標で、ゴールまでの中間目標を示すものでもあります。
KPI設定では、まず最終的な目標達成の指標となる「KGI(Key Goal Indicator=経営目標達成指標)」の設定が必要です。その内容に基づいて、KPIをツリーとして展開します。KPIをロジックツリーで示すことで目標達成までに解決が必要な問題を共有でき、目標達成のための指針となります。
パワーポイントでロジックツリーを作成する前の準備
パワーポイントを使ってロジックツリーを作成する前には、ある程度準備を進めておくとスムーズに作れます。
第1に、ロジックツリーのテーマを決めましょう。どのような問題を解決したいのか、どのような課題に取り組むべきかなど、テーマを明確にします。前述の活用シーンに沿った方向性を決めておくと、よりテーマを具体的にできるでしょう。最初に具体的なテーマを掲げると、効果的な内容のロジックツリーが作成できます。
テーマを決めた後は、ロジックツリーを作るために必要となる要素の分解に必要な切り口の設定を行い、仮説を立ててから問題をジャンルなどで分けていきましょう。その際、前述したMECEに基づいて重複なく漏れなく、を意識しすぎると、複雑になってしまいます。複雑すぎる問題に対しては、最初に仮説を立ててからだんだんと具体性を持たせるのも1つの方法です。
切り口を設定した後は、その内容に基づいてアクションが明確になるまで具体化して要素を分解していきます。そして、重複や漏れがないかどうかをチェックし、必要であれば階層を増やして掘り下げましょう。
パワーポイントでロジックツリーを新規作成する手順
ロジックツリー作成手順を踏まえて、パワーポイントを使ってロジックツリーを新規作成してみましょう。Windows、Mac、Web版いずれも同じ手順で行います。
パワーポイントでは、視覚的に分かりやすく情報を伝えられるSmartArtグラフィックという図形の集合体があります。これを活用すると、ロジックツリーが作りやすくなります。
「挿入」タブ内にある「SmartArt」をクリックすると、レイアウトが表示されます。この中から使用したいレイアウトを選択すると、スライド内にそのレイアウトが挿入されるので、グラフィック内に必要事項を入力しましょう。
パワーポイントで作成したロジックツリーを編集する手順

パワーポイントで作成したロジックツリーは、作成後にさまざまな編集が可能です。Windows、Mac、Web版それぞれの編集手順をご紹介します。
Windowsの場合
テキスト入力・編集
テキストを入力するには、テキストウィンドウの「テキスト」をクリックし、テキストを入力または他所のテキストをコピーアンドペーストすると、ロジックツリー内にテキストが反映されます。
テキストウィンドウが表示されていない場合は、左上にある左向き三角をクリックすると、テキストウィンドウが表示されます。テキストを入力したいグラフィックのボックスをクリックしても、テキストを入力可能です。
SmartArtグラフィック以外の場所にテキストを入力したい場合は、「挿入」タブの「テキスト」から「テキストボックス」を選択して挿入しましょう。
図形の追加・削除
SmartArtグラフィックを挿入したスライドは、必要に応じて図形の追加や削除が可能です。その場合は、図形を追加したいところから近い場所にある図形をクリックしてから、「SmartArtのデザイン」タブにある「グラフィックの作成」グループの「図形の追加」右側にある下向き三角をクリックしましょう。
「SmartArtのデザイン」タブが表示されない場合は、スライド内のいずれかのSmartArtグラフィックが選択されている状態にすることが必要です。また「SmartArtのデザイン」タブはSmartArtグラフィックをダブルクリックしなければ開けないことがあるので注意しましょう。
最初に選択したSmartArtグラフィックの前に図形を追加する場合は「前に図形を追加」、後に追加する場合は「後に図形を追加」をクリックすると、図形を追加できます。
図形を削除するには、削除したいSmartArtグラフィックをクリックしてDeleteキーを押しましょう。SmartArtグラフィックを全て削除する場合は、SmartArtグラフィックの境界線をクリックしてからDeleteキーを押します。
色・スタイルの変更
ロジックツリーの色やスタイルを変更するには、変更したいSmartArtグラフィックをクリックして選択します。「SmartArtのデザイン」タブにある「SmartArtのスタイル」から、「色の変更」をクリックしましょう。
すると、異なるカラーパターンが表示されるので、好みの色を選択すると、SmartArtグラフィック全体の色を一度に変更できます。
パワーポイントは、さまざまな効果やスタイルを組み合わせた「SmartArtスタイル」を利用できます。作成中のロジックツリーのスタイルを変更する場合は、「SmartArtツールのデザイン」タブの「SmartArtのスタイル」で変更が可能です。
macOSの場合
テキスト入力・編集
「挿入」タブにある「図」の中から「SmartArt」をクリックしてレイアウトを選択し、テキストウィンドウの「テキスト」をクリックしてからテキストを入力しましょう。または、テキストウィンドウ内のテキストをクリックして入力やコピーアンドペーストをしても、SmartArtにテキストが反映されます。
Macでテキストウィンドウが表示されない場合も、左上にある左向き三角をクリックすることで表示できます。
または、SmartArtグラフィックに表示されているボックスをクリックすれば、直接テキストの入力・編集が可能です。
図形の追加・削除
図形を追加するには、最初に「SmartArtグラフィック」をクリックしてから、図形を追加したい場所に一番近い場所にある図形をクリックして選択しましょう。「SmartArtデザイン」タブにある「グラフィックの作成」グループ内の「図形の追加」の右側にある下向き矢印をクリックすると、図形の追加方法が表示されます。
Windowsと同様に、選択した図形の前に追加する場合は「前に図形を追加」、後ろに追加する場合は「後に図形を追加」をクリックすると、図形が追加できます。
図形の削除方法も、Windowsと同じです。特定の図形を削除したい場合は、その図形をクリックして選択した状態でDeleteキーを押します。SmartArtグラフィック全体の削除は、SmartArtグラフィックの境界線をクリックした上でDeleteキーを押しましょう。
色・スタイルの変更
SmartArtグラフィック全体の色を変更するには、SmartArtグラフィックをクリックしてから「SmartArtツール」の「デザイン」タブにある「SmartArtのスタイル」グループ内の「色の変更」右側の下向き矢印をクリックします。さまざまなスタイルが表示されるので、特定の色をクリックするとSmartArtグラフィックがその色に変更されます。
なお、SmartArtグラフィックが選択されていなければ、「SmartArtツール」タブや「デザイン」タブは表示されません。
スタイルを変更する場合は、「SmartArtグラフィック」をクリックし、「SmartArtデザイン」タブの「SmartArtスタイル」グループでスタイルをクリックすると変更できます。
テキスト入力・編集
SmartArtで作成したロジックツリーにテキストを入力・編集するには、テキストを入れたい、または編集したいSmartArtグラフィックをクリックして選択します。左側に表示されたテキストエディターの箇条書き項目が、それぞれのSmartArtグラフィックに対応しているので、ここに文字を入力すると、SmartArtグラフィックに反映されます。
図形の追加・削除
テキストエディターを使用すると、図形の追加や削除が可能です。図形を追加するには、Enterキーを押して箇条書き項目を追加します。図形を削除する場合は、削除したい箇条書き項目をバックスペースで削除すると、SmartArtに反映されて削除されます。
色・スタイルの変更
SmartArtグラフィック全体の色を変更するには、SmartArtグラフィックをクリックしてからリボン内の「SmartArtツール」で「色の変更」のアイコン下部にある下向き三角をクリックします。さまざまな色のバリエーションが表示されるので、変えたい色をクリックすれば、SmartArt全体の色が変更できます。
スタイルの変更は、SmartArtグラフィックをクリックしてリボンの「SmartArtツール」にある「スタイル」の右側にある下向き三角をクリックしましょう。表示されるスタイルの中から変更したいスタイルを選択すると、変更が適用となります。
【まとめ】

プレゼンテーション作成ソフトであるパワーポイントは、ツリー状の階層を視覚的に分かりやすく作成することが可能なので、階層を広げるロジックツリーの作成に適しています。パワーポイントには情報などを視覚的に伝えるのに効果的なSmartArtグラフィック機能が用意されているので、これを活用することで分かりやすく伝わるロジックツリーが作成できるでしょう。
ロジックツリーを作る際、またはロジックツリーをプレゼンテーションに活用する場合、パワーポイントの機能のみで伝えたい内容の作成は可能ですが、より伝わるロジックツリーを作るなら、デザポがおすすめです。
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