修士論文発表は、これまでの研究成果の集大成を示す大切な場面です。発表に向けてスライド資料を用意する際に、パワーポイントを利用する方もいるのではないでしょうか。操作に慣れていないと、思い通りのスライドを作成するのに苦労する場面があるかもしれません。
そこで本記事では、パワーポイントで修士論文発表用のスライドを作成する際に知っておきたいおすすめの設定や構成作成の方法、ポイントなどを解説します。
修士論文発表とは?

修士論文とは、大学院の修士課程を修了するために執筆する学位論文で、修士論文発表ではその内容を口頭で発表します。
大学院で研究した分野からテーマを選び、研究の成果とともに自分自身の見解も示す必要があります。
卒業論文発表との違い
卒業論文は、学部生が最終学年で執筆する論文です。学部で学んだ知識を生かし、自分や他者の主張を論理的に分析・検証する力があるかどうかを証明することが目的です。
これに対し、修士論文は特定分野の研究者として深い知識を持ち、高度な研究能力を有しているかなど、卒業論文よりも高いレベルが求められます。
また卒業論文は、既存の研究について調査や分析・考察を行うのに対し、修士論文は、既存の研究と独自の研究を比較するといった新しい試みが必要となります。
修士論文発表用スライドにおすすめのパワーポイント設定方法
修士論文発表に使用するパワーポイントは、以下の項目でそれぞれ適した設定を行いましょう。
スライドのサイズ
パワーポイントのスライドのサイズは、従来の規格である横:縦が4:3、または現在主流となっているワイドスクリーンサイズの16:9の2種類が一般的ですが、修士論文発表用のスライドには4:3が適しています。
現在のパワーポイントのスライドのサイズは、多くの情報を盛り込みやすい16:9が主流です。しかしこのサイズは古いモニターやプロジェクターに対応していない場合があり、使用する機材によっては想定した表示にならないことが考えられます。
このような理由から、修士論文発表には4:3のスライドがおすすめです。
フォント
パワーポイントでは、読みやすく視認性の高いフォントを選ぶのが基本です。読みやすいフォントとは、均一な太さで装飾がないフォントです。日本語はゴシック体、英数字はサンセリフ体が、パワーポイントのスライドで読みやすい一般的なフォントとなります。
Windowsでは日本語フォントの「游ゴシック」や「メイリオ」、英数字は「Ariel」や「Segoe UI」がおすすめです。Macでは日本語なら「ヒラギノ角ゴシック」、英数字は「Helvetica」がよいでしょう。
フォントサイズ
フォントサイズは、小さ過ぎると文字を視認しにくくなります。大き過ぎても読みにくくなるため、モニターやプロジェクターに投影することを考慮して適度な大きさに設定します。
読みやすいフォントサイズは、20~24ptです。しかし、発表を行う会場の広さによっても読みやすさは変わるので、可能であれば実際の機材で投影して、最後列の席から確認しながらフォントサイズを調整しましょう。
また、タイトルやリード文、本文でフォントサイズを変えて階層を表すのも、スライドを読みやすくするコツです。タイトルには最も大きなフォントを使用し、リード文、本文の順でフォントサイズを下げていきましょう。
ページ番号
パワーポイントのスライドには、必要に応じてページ番号を付けることが可能です。修士論文発表では、聞き手が質問する際にページ番号があれば便利です。
修士論文のスライドの場合、大学ごとにページ番号の位置などの体裁が定められていることがあるので、指定された場所にページ番号を挿入しましょう。
余白
スライドの端に余白を作らずに情報を載せると、後ろの方の聞き手が見にくくなったり、使用するモニターやプロジェクターによっては端が切れてしまったりすることもあります。そのため、スライドの上下左右には適度な余白を作りましょう。
覚えておきたいパワーポイントの便利機能

パワーポイントには便利な機能が多数搭載されています。しかし、普段使い慣れていないと見逃してしまうこともあるでしょう。
そこで、修士論文を作成する際に覚えておきたいパワーポイントの便利機能を紹介します。
スライドマスター
スライドマスターとは、スライドのフォントや文字色などの書式、ページ番号の位置などを一括で管理できるパワーポイントの機能です。
スライドの枚数が多いと、1枚ずつ書式やレイアウトの設定を行っていては時間がかかってしまいます。そこで、スライドマスターを使用して全てのスライドを一括で修正すれば、統一感があり読みやすい修士論文に仕上げられます。
スライドマスターを使うには、表示タブのマスター表示の中にある「スライドマスター」をクリックしましょう。すると左側にスライドのサムネイルが一覧で表示されます。
1番上がスライドマスター、その下がレイアウトマスターです。スライドマスターを変更すると、下のレイアウトマスターにも変更が反映されます。レイアウトマスターを開いて変更を加えると、そのスライドにのみ反映されます。
ショートカットキー
ショートカットキーを覚えておけば、その都度キーボードから手を離してマウスを操作しなくても、キーボードのまま、さまざまな操作ができるようになります。以下に挙げるのが、代表的なショートカットキーです。
- コピー:Ctrl+c
- 切り取り:Ctrl+x
- ペースト:Ctrl+v
- 繰り返し:Ctrl+y
- 元に戻す:Ctrl+z
- 全て選択:Ctrl+a
- 名前を付けて保存:Ctrl+Shift+s
- 上書き保存:Ctrl+s
ショートカットキーは、上記のようにCtrlキーともう1つのキーを組み合わせるのが一般的です。これらの多くはパワーポイントに限らず、他のOffice系ソフトなどでも幅広く使えます。
また、パワーポイントでスライドやオブジェクトを取り扱う際には、以下のような便利なショートカットキーもあります。
- オブジェクトのグループ化:Ctrl+g
- オブジェクトを1つ後ろに移動:Ctrl+[
- オブジェクトを1つ前に移動:Ctrl+]
- オブジェクトを最背面に移動:Ctrl+Shift+[
- オブジェクトを最前面に移動:Ctrl+ Shift+]
- テキストの編集:F2
- スライドショーを最初から開始:F5
- スライドショーの終了:Esc
修士論文発表用スライドの構成作成の方法
修士論文発表用スライドを作成するには、まず構成から作成する必要があります。修士論文の構成はある程度決まっているので、以下でご紹介する情報を参考に、構成を組み立ててみましょう。
研究の目的から考える
修士論文発表用のスライドは、以下のような構成が基本となります。
- 研究の目的や背景
- 研究の方法
- 研究の結果・考察
- 結論・主張
しかし、効率的にスライドを作成するには、構成の流れに沿って作成するよりも、以下の順番で作成するのがおすすめです。
- 研究の目的や背景
- 結論・主張
- 研究の結果・考察
- 研究の方法
修士論文発表用スライドの構成は、まず研究の目的から考えます。研究によって解決したい課題や、研究による影響、立証する仮説などを具体的に述べましょう。研究の目的が明確であれば、修士論文で執筆した内容の理解を深めてもらえます。
研究の目的と併せて、なぜこの研究を行うに至ったかの経緯や課題を説明します。
目的・背景の次は、結論・主張を作成します。結論は、発表の中でも非常に重要な部分です。研究によってどのような結論に至ったのかを、簡潔に分かりやすくまとめてみましょう。
そして、その結論・主張に説得力を持たせるために、必要最低限の結果・考察、研究の方法などを図や表でまとめます。
修士論文発表用のスライドには、修士論文の内容全てを盛り込む必要はありません。聞き手を納得させるために必要な情報を取捨選択し、スライドに落とし込みましょう。
目次を作る
修士論文発表用スライドには目次も必要です。目次を先に提示しておくと、聞き手は研究発表の内容を大まかに把握でき、理解が深まります。目次は、タイトルスライドに併記する、もしくはタイトルスライドの次に作成しましょう。
目次は、研究目的と研究背景を含めた「序論」、研究方法や分析についての「本論」、研究結果や結論を示す「結論」の3つから構成されます。一目で内容を把握できるよう、できるだけシンプルに内容を整理するのが目次作成のポイントです。
まとめを作る
修士論文発表用スライドの最後には、まとめのスライドを作成します。文章を詰め込んでしまうと読みにくくなってしまうため、まとめのスライドにはあまり文章を使用せず、研究内容を1つで表せる図や表を使って分かりやすい内容にまとめます。
もし、図や表でまとめるのが難しい場合は、箇条書きで簡潔に研究結果をまとめましょう。
修士論文発表用スライドを作成する際のポイント

パワーポイントを使って分かりやすく情報をまとめた修士論文発表用スライドを作成するには、いくつかのポイントがあります。一般的なプレゼンテーションと共通する点もありますが、スライドはあくまでも修士論文発表のための補助ツールの1つです。論文発表を念頭に、以下のポイントを押さえてスライド作成を進めましょう。
スライド1枚につき話題は1つにする
修士論文発表用スライドに限らず、パワーポイントで作成するプレゼンテーションに共通していえることですが、スライド1枚に盛り込む話題は1つに限定するのがポイントです。
1枚のスライドに盛り込まれた内容が多過ぎる、または複数の話題が混在していると話が長くなり聞き手が理解しづらくなったり、話し手が話すべき内容を忘れてしまったりする恐れがあります。
このような事態を防ぐためにも、スライド1枚に盛り込む話題は絞り込みましょう。もし、盛り込みたい内容が増えた場合は、複数のスライドに分けて作成する方法もあります。
1スライド1分を意識する
スライド1枚当たりで話す時間は1分を意識することもポイントの1つです。スライドの内容が多過ぎると話す内容も増えてしまうため、前の項目で解説したようにスライド1枚につき話題は1つが原則です。
また、修士論文発表用スライドは、スライドを投影して話をすることを前提に作成します。スライド1枚当たりの情報量が多過ぎると、聞き手の集中力が続かなくなり、内容や要点を理解してもらいにくくなってしまいます。
ダラダラと長い話をするよりも、要点を絞り込んで話す方が理解度を高めてもらえるので、1スライドで話す長さは1分に抑えられるようにスライドの内容を調整しましょう。修士論文発表の時間指定がある場合は、1スライド1分としてその時間に応じた枚数のスライドを作成するといいでしょう。
色は多くても3色にする
パワーポイントを作成する際は、色分けをして見やすくする方が多いでしょう。しかし、あまりにも多くの色を使い過ぎると、どの部分が重要なのかが分かりにくくなってしまいます。パワーポイントのスライドに使用する色数は、多くても3色までに限定するのが理想的です。
スライドで使用する3色は、テキストに使用する基本となるベースカラーに加えて、重要度が高い部分や強調したい部分に使用するアクセントカラー、重要度の低い部分に使用するサブカラーから成ります。
見やすいスライドに仕上げるためには、それぞれのカラーの使用率をベースカラー70%、サブカラー20%、アクセントカラー10%という配分で使用するのもポイントです。使う色のルールを設定して上手に使うことで、色そのものがスライドの内容の重要度を示すことが可能となり、視認性と理解度を高められます。
図や表を使って文は少なくする
パワーポイントのスライドは、文章とともに図や表なども活用するのがおすすめです。修士論文発表はスライドのみで相手に内容を伝えるのではなく、基本的には口頭で情報を伝えます。スライドに必要なテキストを全て載せる必要はないため、図や表にできるテキストはできるだけ作図をし、文章は少なく抑えましょう。
図や表も、可能な限り簡潔に作成するのもポイントです。1枚のスライドに複数の図表を並べることは避け、1つずつ表示するよう工夫すると、視認性が高まり口頭での説明を聞いてもらいやすくなります。
想定される質問への回答を用意する
修士論文発表では、聞き手による質問が行われます。想定外の質問をされた場合に、その場で回答ができなくなることを避けるためにも、あらかじめ質問を想定し、回答を用意しておくのがおすすめです。
自分自身で作成した修士論文に対する質問の想定が難しいときは、第三者に修士論文発表を聞いてもらって質問してもらう方法があります。自分では想定しなかった質問が出てくることもあるので、その質問に対する回答を準備しておきましょう。
また、質疑応答に備えて予備のスライドを作成する方法もあります。事前に想定していた質問に対しては、万全の回答を準備しておくと安心です。
修士論文発表時のポイント
修士論文発表では、聞き手の前で、作成したスライドを見せながら自分自身で話をする必要があります。スライドの内容が優れていたとしても、発表そのものがきちんとできなければ意味がありません。修士論文発表時は、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
1. 聞き手に合わせた話し方にする
修士論文発表の聞き手が学生や一般の人を含む場合と、研究者のみの場合では、聞き手の事前知識や理解度が大きく異なります。
学生や一般の人に向ける場合、基礎や専門用語の説明なども盛り込まなければ、内容を理解してもらえません。また研究者のみの発表で基礎的な内容を盛り込むと、回りくどいといった印象を与えてしまう可能性もあります。そのため、修士論文発表では聞き手に合わせた話し方にするのがポイントです。
聞き手を事前に把握していれば、スライドを作成する段階で聞き手に合わせた内容で作成できるので、より発表内容を把握・理解してもらいやすくなるでしょう。
修士論文発表の基本は、ハキハキとした大きな声で堂々と話すことです。発表中は視線を頻繁に動かすことなく、聞き手に向かって話すように心掛けることも大切です。
2. 写真や小道具も交えて説明する
修士論文発表ではスライドが補助ツールと述べましたが、その他にも写真や小道具を使用するのも効果的です。研究内容をより詳しく説明するために実際の写真を載せたスライドを交えたり、発表の場に持ち込めるものなら実物を持ってきて壇上で見せたりする方法もあります。
スライドだけでは聞き手の集中力が途切れることがあるので、適宜写真や小道具を用いると、より興味を惹きつけ、集中して話を聞いてもらえるでしょう。
まとめ

パワーポイントを使って修士論文発表用のスライドを作る際は、一般的なプレゼンテーション作成と同様に、スライド1枚に盛り込む情報や使用する色を絞り込む他、スライドを見せながら話すことを前提に内容を作成するなどのコツがあります。
パワーポイントを使った修士論文発表用のスライド作成は、慣れていない方にとっては完成後の良し悪しが分かりにくく、発表の際に聞き手が見づらく理解しにくいものになることもあるでしょう。
相手に伝わるスライドを作るには、株式会社ユニモトが提供するデザイナーズパワーポイント制作サービス「デザポ」を利用する方法もあります。どのような資料でも、デザインの力をプラスした質の高いスライドに仕上げます。
自分の研究結果や成果を正確に聞き手に伝えるためにも、スライドに必要な情報を分かりやすく整理して盛り込むことが重要です。今回ご紹介したポイントを参考に、論文発表がスムーズに進むようなスライド作成に取り組んでみましょう。


